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「警察犬」について

皆さんがご存知のとおり、犬の嗅覚は非常に優れています。

例えば、ニンニクの臭い(エチルメルカプタン)なら人間の2000倍、酸臭(酢酸)なら人間の1億倍の嗅覚をもっています※1。そして、そんな鋭い嗅覚を活かし、‟生きた鑑識器材”として警察の犯罪捜査で活躍しているのが「警察犬」なのです。

また、「警察犬」には、各都道府県の警察が直接飼育・訓練している「直轄警察犬」と一般の人たちが飼育・訓練し、嘱託警察犬審査会で合格した「嘱託警察犬」がいます※2。現在、日本では、約150頭の「直轄警察犬」と約1300頭の「嘱託警察犬」が活動しています※3

①「警察犬」はどんな仕事をするの?

「警察犬」には、主に5種類の仕事があります※4

(a) 足跡追及活動 : 現場に残された犯人の遺留品の臭いから追跡する活動※5
(b) 臭気選別活動 : 犯人の遺留品と容疑者の臭いが一致するかどうか特定する活動。
(c) 捜索活動 : 麻薬や爆発物を発見したり、行方不明者や山菜採りなどの遭難者を捜す活動。
(d) 逮捕活動 : 逮捕時に、犯人が逃走しないように見張ったり、凶器を奪い取ったりする活動。
(e) 警戒活動 : 要人を守ったり、重要な施設の見回りをして警戒したりする活動。

皇居内や御用邸など警備をする「皇宮警察の警察犬」は、(e)警戒活動を主な仕事としています。

「皇宮警察の警察犬」の場合は、空気中の臭気を嗅ぐことによって不審者を探索するように訓練されています※6

② 「警察犬」ってどんな犬?

日本警察犬協会※7は、「警察犬」の犬種として以下の7種を指定しています※8

ジャーマン・シェパード・ドッグ German Shepard Dog

世界で最も数が多く、1880年代にドイツの山岳地方にいた羊の番犬を軍用犬に開発した犬種です。
今日では、様々な国において、「警察犬」として利用されています。

ドーベルマン Dobermann

1870年代、ドイツのカール・ルイス・ドーベルマン氏がロットワイラー、ジャーマン・ピンシャー、ワイマラナー、イングリッシュ・グレイハウンド、マンチェスター・テリアを交配させた犬種です。“犬のサラブレット”とも言われ、多くの国が軍用犬や警察犬として活用しています。

エアデール・テリア Airedale Terrierfcaebook

1800年代、イギリスのヨークシャーで、賃金労働者たちがオールド・イングリッシュ・ブロークンヘアード・テリアとオッター・ハウンドを交配させた犬種です。“テリアの王様”ともいわれ、イギリスやカナダでは古くから軍用犬や警察犬として活躍しています。

コリー Collie※9

イギリスのスコットランド高地地方が原産とされる犬種です。日本では、1958年から「警察犬」に指定されています。

ボクサー Boxer

1850年代、ドイツやオランダで猪や鹿の狩りに使われていたブレンバイサーBullenbeisserという犬種に、他の地方の土着犬を交配させた犬種です。

ラブラドール・レトリバー Labradoodle Retriever

カナダのニューファンドランド島が原産とされる犬種です※10。もともと狩猟犬(獲物を回収Retrieveする犬)でしたが、現在では「補助犬」や「警察犬」として世界中で最も活躍している犬種です。日本では、1984年に警察犬に指定されました。

ゴールデン・レトリバー Golden Retriever

19世紀後半、イギリスにおいて、フラットコーテッド・レトリバーとトゥイード・ウォーター・スパニエル(今日では絶滅した犬種)を交配した犬種です。ラブラドール・レトリバーと同様、もともと狩猟犬でしたが、現在では「補助犬」や「警察犬」として活躍しています。日本では、1992年に警察犬に指定されました。

また、「嘱託警察犬」の場合は、指定犬種以外でも認められることがあります。

例えば、日本で最初に「警察犬」となった小型犬は、ミニチュア・シュナウザーでした※11
また、ロングコート・チワワや柴犬も、「嘱託警察犬」として登録されています※12

③ 「警察犬」はいつ誕生したの?

世界で最初の「警察犬」は、1896年に、ドイツのヒルデスハイム市警察によって誕生したと言われています。その後、ベルギーやイギリスなどでも「警察犬」が活用されるようになり、日本では、1912年に初めて「警察犬」が誕生しました。イギリスから2頭の警察犬が購入され、当時独学で警察犬の訓練を研究していた荻原警部補がトレーニングを一任されました※13

しかし、警察犬制度の歩みは、順風満帆であった訳ではありません。警察犬制度は、1920年に廃止となり、1937年に防犯課の警察犬係として復活するものの、1945年の東京大空襲によって再び中止となりました。そして、最終的に警察犬制度が現在のような鑑識課警察犬係として復活したのは、1956年でした。

※1 この「1億倍」というのは、酢酸を少しずつ薄めていき、犬に嗅ぎ分けさせるという嗅覚の実験によって得られた数値です。他にも、スミレの花臭(α‐イオノン)なら人間の3000倍、腐敗バター臭(酪酸)なら人間の80万倍、吉草根の香気(吉草酸)なら人間の170万倍の嗅覚をもつことが分かっています。(林良博監修『イラストでみる犬学』講談社、2007年)

※2 「嘱託警察犬審査会」は、年に1回、各都道府県の警察がそれぞれ開催し、「捜索、選別、警戒、服従」などの能力を有しているか否かが審査されます。また、「嘱託警察犬」及び訓練者の嘱託期間は、1年間です。

※3 2012年4月1日付『中日新聞』より

※4 「警察犬」の詳細については、各都道府県において要項が制定されていますが、この分類は青森県警察の定義を参考にしています:http://www.police.pref.aomori.jp/keijibu/kansiki/pd.html

※5 犬の追跡能力は、汗に含まれる揮発性脂肪酸を感知する能力に依存しています。
(林良博監修『イラストでみる犬学』講談社、2007年)

※6 皇宮警察本部のウェブサイト:http://www.npa.go.jp/kougu/index.html

※7 「公益社団法人 日本警察犬協会」は、「主務官庁として警察庁の指導監督を受ける、日本唯一の権威ある使役犬団体」であり、「動物愛護の思想普及と、畜犬の能力を最高度に活用し、社会福祉の貢献と警察犬種の改良増殖を図ることを目的」としています:http://www.policedog.or.jp/index2.htm

※8 ここでの各犬種に関する説明は、ブルース・フォーグル氏の著書『新犬種大図鑑』を参考にしています:
ブルース・フォーグル著『新犬種大図鑑』(ペットライフ社、2008年)

※9 コリーには、ボーダー・コリー、スムース・コリー、ビアデッド・コリーなどの種類がありますが、映画「名犬ラッシー」で有名なコリーは、ラフ・コリーです。また、ラフ・コリーとスコットランドのシェットランド島の犬を交配させたのが、シェットランド・シープドッグです。(ブルース・フォーグル著『新犬種大図鑑』ペットライフ社、2008年)

※10 ラブラドール・レトリバーは、もともと「セント・ジョンズ・レトリバー」や「レッサー・ニューファンドランド」などと呼ばれていましたが、この犬種をイングランドに持ち込むときに、より大きなニューファンドランド犬と区別するために、統一して「ラブラドール・レトリバー」と呼ぶようになったと言われています。また、この「ラブラドール」という呼び名は、一般的には原産地の地名に因んでいると言われていますが、実際には、原産地であるセント・ジョンズはラブラドールではなく、南部のアバロン半島に位置しています。

※11 この「警察犬」は、2010年1月に和歌山県で採用された「くぅ」です。「くぅ」は、体重約6kg、体高約30cm、オスで3歳のミニチュアシュナウザーでした:http://www.asahi.com/eco/OSK201001180092.html

※12 2011年、ロングコートチワワの「桃」(当時7歳のメス;体重3キロ)は、奈良県で「嘱託警察犬」として初めて採用されました:http://sankei.jp.msn.com/life/news/111109/trd11110919250010-n1.htm

また、同年、岡山県では、柴犬の「二葉」(当時5歳のメス)が「嘱託警察犬」として初めて採用されました:
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110720/trd11072008510008-n1.htm

他にも、トイプードルといった犬種も活躍しており、2013年度は、京都府で2頭のトイプードル(モッチとマイ)が「嘱託警察犬」として活動しています

※13 荻原警部補は、1909年頃から、ドイツ人のゲルスバッハという人の書いた「警察犬訓練法」という本で勉強していたそうです。しかし、荻原警部補は、「警察犬」を実際に訓練飼育した経験はなかったため、訓練所に家族とともに居住して、毎日トレーニングに専念されたそうです。また、こうした日本における「警察犬」の歴史については、『首輪をつけた刑事たち―警察犬物語―』のなかで詳しく説明されています:来栖三郎著『首輪をつけた刑事たち―警察犬物語―』(文芸社、1999年)

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